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ルドジュがひたすらもやもやしている話⑤
すぐに更新する予定だと言いながら、間があいてしまいました・・・すみません

あと、もう2、3話くらいで終わるなんて大層な嘘もついてしまいました。
4、5話・・・くらいかかりそうです。

拍手[13回]


ふ、と目が覚めたのはまだ日が上がっていない時間だった。
暖かい体温に包まれているのを感じて、ふわふわとしていた頭が一気に覚醒する。
僕の身体を抱き締めて寝息を立てているのは、紛れもない、ルドガーで。お互い何も身に着けていない裸の状態だと理解したときには、昨夜の出来事を否応でも思い出してしまい、体温が一瞬で上昇したのが自分自身で良く分かった。
まさかこうやってまたルドガーと肌を会わせる事になるなんて、昨日の朝には想像もしていなかった。
僕自身は後悔していない。当然だ。僕から、誘ったのだから。
ただ、目を覚ましたルドガーが我に返り、また酷く情緒不安定にならないか不安だった。
暗闇に慣れてきた目でルドガーを見る。無防備な寝顔だった。初めて見るルドガーの顔に嬉しくなる。
「・・・好きだよ、ルドガー」
熟睡しているルドガーを起こさないように、そっと呟いた。
伝えられない言葉。想い。
ルドガーのことが好きだからこそ、言わないと決めた。
「もう言わないから、許してね・・・」
未だ目を開ける気配のないルドガーに小さく口付けて、僕は再びルドガーの胸に顔を埋めた。

それから今日までの約半年の間、ルドガーとは頻繁に身体を重ねるようになった。
セックスをするのは僕の部屋で、が暗黙のルールになっていて、ルドガーが僕の部屋を訪れた時にはどちらともなく手を伸ばす。特に約束はしていなくても、ルドガーは毎旬決まった日に仕事が休みで、その前の日の夜には必ず僕の部屋に来てくれるようになった。
それが僕にとっては凄く嬉しくて。
ルドガーからこれから行く、とメールをもらう度にまだ終わりじゃない事を確認出来て、ほっとする。
今日も仕事が終わったら行ってもいいか、とメールが入っていて、僕は迷う事無く待ってるよ、と返事を送ったところだった。
明日はルドガーの仕事は休みではないから、泊まってはいかないだろうと思う。
それでも、短い時間でもルドガーに会える。
そう思っただけで頬が弛んでいるのが自分でも良く分かる。
「今日もデートかい?」
「ぅわあ・・・っ!」
突然後ろから話しかけられて反射的に身体が跳ね上がった。
勢いで振り向くと、バランさんがにこにこと笑って立っていた。
バランさんは僕が働くヘリオボーグ研究所の所長で、僕の上司だ。とても尊敬しているし、人間的にも素晴らしい人なんだ、と思うけれど、人をからかうのがとてもとても好きみたいで。彼がこういう顔をしている時はあまりいい事がない。
「確か二日前もデートだったよね?ラブラブで羨ましいな~」
「バ、バランさん・・・デ、デ、デートとかっ!そんなんじゃないですって・・・!」
「隠さなくてもいいのに。ジュードは案外分かりやすいよね。GHS見てはうっれしそうにしてるから皆噂してるよ。あの難攻不落のジュード先生に遂に彼女が?!って」
「え・・・っ?!う、うそっ!」
バランさんに指摘されて、ばっと頬を押さえる。
確かに顔は弛んでいたと思う。
でも、ルドガーとのメールはこっそり見るようにしていた。今だって休憩中で皆出払ってしまっていたから、誰もいないと思っていたのに。
・・・実は皆に目撃されていて、あろう事かデートなんて、ましてや居もしない彼女の噂までされていたなんて。
「で、でもっ!本当にデートとかじゃなくて、友人とですから・・・っ!」
「へー、友人ね~」
ダメだ。顔が輝いたままだ。
「じゃあ、ジュードの意中のお相手ってところかな?気持ち的にはデートだよね」
「だ、だから・・・本当にそういうのじゃ・・・」
思いっきり図星を指されて内心ぎくりとしながら否定する。
これ以上口を開くと墓穴を掘りそうな気がして黙りこくった僕に、バランさんはもう飽きたらしく僕の机に置いてあった本を取り、ぱらぱらと捲り出した。
「まあ、どちらにしろさ。元気になったみたいで良かったよ」
「・・・?」
「一時期は研究にのめり込んで見ていられないくらいだったし。アルフレドが口出してちょっと落ち着いたかな~って思ってたら、また思い詰めてるし。でも最近は本当に元気になったみたいだし」
言われて、凄く心配されていた事に気付く。
バランさんは他人に関心なんてありません、という顔をしながら本当はとても気の付く人で。今だって素っ気無くさらりと言っているけれど、きっと本当に心配してくれていた筈だ。
アルヴィンが急に僕をルドガーとユリウスさんの所に連れて行ったのも、従兄弟であるバランさんから話を聞いたからだろう。
そう考え始めると、ルドガーと出会えたのもバランさんのお陰なのかな、と思う。
確かに少し苦しいと思うときもあったし、今だって、いつまで続くか分からないような関係で。それを思って苦しくないと言えば、嘘になってしまうけれど。
でも、ルドガーといられる事が僕にとって凄く温かくて、ほっとする時間であることには変わりなくて。
また頬が弛みそうになるのを必死で抑えていると、バランさんは変わらず本に目を向けたまま口を開く。
「この前の実験データを纏めた論文も凄い良かったよ。シャール家が資金援助してくれるって話もついたし」
「・・・っ?!ほ、本当ですか・・・?!」
急に落とされた爆弾のような発言に、思わず立ち上がってバランさんに詰め寄った。
急な朗報に自然と気持ちが浮上していく。
資金繰りに苦労をしていたせいで出来なかった実験を出来るかもしれない。また新たな結果が出せるかもしれない。
考え出すと止まらなくなって、次の実験の算段を頭の中で組み立て始めている僕を見越したように、バランさんはにっこりと笑った。
「デートの日にこんな朗報なんて、今日はジュードにとってとっってもいい日だね」
「だ、だからっ!デートじゃないですって・・・っ」
「まあ、何事も少し一歩引いて見たほうが良いってことかもね。またのめり込み過ぎないで、自分の身体にも気を遣ってやってくれよ」
最後に釘を指すような言葉を残してから、バランさんは研究室を出て行った。
ドアのしまる無機質な音が僕だけが残った部屋に響く。閉まったドアに目を向けたまま、僕は立ち尽くしていた。
頭の中にバランさんの声が響いているようだった。
「一歩引いて見たほうが・・・か」
そうして見ると、僕とルドガーはどんな形をしているのだろう、と思う。
きっと歪で綺麗な形をしてはいない。
それでも、分かっていても、僕からはルドガーの温もりを手放すことなんて出来ないのだ。

あの日の朝、目を覚ましたルドガーは僕が心配したような事は無く、逆に酷く甘えてきて驚いたくらいだった。
だって、もう時間だからと言った僕にしがみついて、まだこうしていたいと離れようとしない彼の姿なんて、誰が想像しようというのか。
ルドガーが、根っからの弟気質で寂しがりやで甘えたな性格だという事は、ユリウスさんが話してくれた事があった。でも、ルドガーは僕を弟みたいなものだと普段から言っている通り、僕に対してはそういう部分を見せてくれた事は無かったから。
だから正直驚いたけど、同時に、ルドガーがそういった一面を僕に見せてくれるようになった事が単純に嬉しかった。
今日もルドガーは玄関のドアを開けてすぐに、僕を抱き締めて、
「・・・癒される」
と呟くと、更に僕の身体を抱く腕の力が強くなる。まるでしがみつくようにぎゅうっと回される腕が嬉しい。
同じ様にルドガーの背中を抱き返すと、ルドガーが僕の頭に頬を摺り寄せる。子猫が親猫にするような仕草がなんだかすごく可愛く思えて、ルドガーの髪をそっと撫でた。
自然と空気が甘くなっていくのを感じる。
「このまま、する・・・?」
何を、とは言わなくても伝わるほど、ルドガーとは肌を重ねているから。
そっと聞いた僕にルドガーはぴたりと身体を止め、少し考えているようだった。
「・・・・・・したい、けど・・・今したら途中で止まれない自信がある・・・」
「止めなくてもいいのに」
「いや、だめだ・・・ジュードに夕飯食べさせる方が先だろ」
言いながら身体を離したルドガーは、袋を床から拾い上げた。
どうやら僕にしがみついてくる前に置いたというか、投げ置いたというのか。とにかく床に放置されていたらしい袋を持ってルドガーはキッチンに向かっていく。
離れた距離に少し寂しさを覚えながら、袋から色々と取り出しているルドガーの手元を覗きこんだ。
「わ・・・また持ってきてくれたんだ、いつもありがとう」
「いいって。今温め直すからちょっと待ってて」
「じゃあ食器出すね」
「ああ。ありがとう」
ルドガーが僕の家に来る時には、今日のように仕事先から料理を持ってきてくれる事が多かった。
幾つかの密封された容器に詰められた料理の数々はどれも美味しそうで。食器の準備をしながら、手際よく料理を温めたり盛り付けたりしているルドガーを見る。
僕の部屋のキッチンにルドガーが立っている。なんていう事はないのに、それだけでどこかくすぐったいような、ふわりと甘い気持ちになる。
ルドガーが持ってきてくれた料理の数々で、僕の部屋にある小さなテーブルはたちまち埋まってしまった。
綺麗に盛り付けられた料理はどれも本当に美味しそうだけど、二人では食べきれる量ではなくて。
ルドガーが休みの前日以外で僕の家に訪れるのは、ユリウスさんがいない時だから、ユリウスさんは出張でいないのだろう。
どうしても余ってしまうだろう料理にどうしようかと思いながらも、ルドガーと食事が出来る事と、仕事での朗報が重なって、僕の機嫌はすこぶる良かった。
「ジュード、今日何か良い事あったのか?」
ルドガーもすごく機嫌のいい僕に気付いたらしく、目を細めて聞いてくれた。
「あ、うん。実はね・・・」
僕はとにかく聞いて欲しかったから、それはもう、饒舌に話していたと思う。
研究資金を出してくれるスポンサーが新たに増えた事。それがリーゼ・マクシアの名門貴族である六家の一つ、シャール家だという事。これで今までしたくても出来なかった実験が出来るという事。更にはその実験がどういうものなのか・・・聞いても絶対に楽しくもないだろう僕の専門的な話を、ルドガーはずっと笑顔で聞いていてくれる。
そしてひとしきり僕が話した後、本当に良かったな、と呆れることなく頷いてくれた。
「けど、少し心配だな。ジュードは研究になると周り見えなくなるみたいだから。食べるのも忘れて、仕舞いには身体壊しそうで・・・」
「同じ様な事バランさんにも言われた・・・僕ってそんなに危なっかしいかな・・・?」
「まあ、それも少しあるけど・・・たださ、心配なんだよ」
ルドガーは苦笑しながら手を伸ばして、僕の頬にそっと包み込むように降れる。不意に与えられた温もりにどき、と胸が高鳴った。
「本当に身体大事にしてくれよ?無理して倒れた、なんて聞きたくないからな」
「大丈夫・・・・・・だと、思う」
「・・・やっぱり心配だな。じゃあ、約束しよう」
「約束?」
首を傾げた僕にルドガーが頷く。
「一人の時でもしっかり食べて、ちゃんと寝る事。これだけ約束して」
「そんな事、約束しなくても・・・」
「約束したらジュードは守ろうと思って意識するだろ?それに俺も安心するし。だから、ほら、約束」
子供がするみたいに小指を出され、少し戸惑う。けれどルドガーにほら、と促されて、自分の小指を彼の小指と絡めた。なんだか少し照れくさい。
「約束、な」
「うん・・・約束ね」
僕がそう答えると、ルドガーは満足したように絡んでいた小指をほどいた。
離れた手は次に、僕の顔に伸ばされる。唇をルドガーの親指がさらりとなぞっていく。それに少し性的なものを感じて身体が熱くなって。
先程の甘い空気を思い出し、潤んだ目でじっとルドガーを見詰めるとルドガーは目を細めて微笑んだ。テーブルから身を乗り出して近付いてきたルドガーの顔に、僕もゆっくりと顔を近づける。
そっと重なった唇はすぐに離れたけれど、翡翠色の双眸が情欲に濡れていた。僕もきっと同じ目をしているのだろう。
恋人のようだけど恋人じゃない。友達だけど、友達のままでもいられない。
どこかおかしい関係である事は、こうした状況を作ってしまった僕自身、きっとルドガーも分かっている筈で。でもお互い言い出せずに、目の前にある快楽から抜け出す事が出来ずにいる。
ずっとこのままでいれればいいのに。
思ってはいけないのに、この関係が続く事を願ってしまう。
「・・・ルドガー」
堪らず名前を呼んだ声に熱が篭っているのが、自分のものだというのに分かってしまう。
今度は僕から口付けると、すぐにそれは深いものへと変わった。




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