忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


ルドジュがひたすらもやもやしている話③
少し間があいてしまいました。
あと2、3話くらいで終わると思います。

予断ですが、ルドジュにのめり込んでからEDを見るとものっすごい切なくなります。
ED後のルドジュを考えると更に切な過ぎて、どうにか幸せになって欲しくて・・・少しでも幸せなルドジュのED後の話も書きたいのです、が・・・すごい勢いでぶっ飛んだ話になりそうです・・・

拍手[8回]



ソファの上で目が覚めると、ルドガーは酷い顔色だった。
そして、目を覚ました僕に気付くとすごい勢いで、ソファの前に沈み込んだ。所謂土下座だ。
「謝って済む事じゃないのは分かってる・・・っ!でも、本当に・・・ごめん・・・!!」
「ちょ、ちょっとやめてよ、ルドガー・・・っ!」
「殴っても蹴っても、ジュードの気がすむようにしてくれていいから・・・!」
「そんなことしないってば、もう・・・ね、顔上げて?」
床の上で握り締められた拳は震えていた。手だけではない。ルドガーの全身が震えていた。それをなんとか止めてあげたくて身体を起こすと、下半身に鈍い痛みを感じる。
でもそんなもの気にしていられない。
裸のままかも、とも思ったけど、衣類はルドガーが着せておいてくれたらしい。
少しほっとしてソファから下り、頭を下げたまま震えるルドガーの背中にそっと手を触れる。びくりと跳ねた身体に泣き出しそうになる。
「・・・ルドガー。顔上げてくれたら、それだけでいいから・・・」
ルドガーがゆっくりと顔を上げて、目が合う。
今にも泣き出しそうな、叫び出しそうなほどに悲痛な表情に胸が痛んだ。
「ジュード・・・ほんと、ごめん・・・俺、お前の事弟みたいに思ってるのに、あんな・・・あんな、事・・・」
「もういいから・・・」
落ち着かせるように、背中をそっと撫でた。
「お酒飲むと人肌恋しくなるって聞いた事あるし、僕も雰囲気に呑まれちゃったし・・・止めなかったし、ね。ルドガーはそんなに気にしないで?」
ルドガーは、もう一度ごめん、と言うと押し黙ってしまった。
好きだから嬉しかったんだよ、と言えばルドガーはどうするだろうか。
きっと真面目な彼の事だから責任を取る、とか言いだすんだろう。今だって言いかねない雰囲気なのに、僕の気持ちを伝えたら、ルドガーにはもう選択肢は無くなってしまう。
「じゃあ、ルドガー。とびっきり美味しい朝ごはん作ってくれる?」
だから、出来るだけ明るい声で笑ってそう言うと、ルドガーはやっと顔を上げて小さく笑って頷いてくれた。泣き笑いの、ままだったけれど。

そこからルドガーは、それはもう、態度に出た。そもそも彼は隠し事が出来ないタイプなのだ。
僕を見ると顔を赤くしたり青くしたり、それをユリウスさんに指摘されて変に突っぱねてしまったり。それでまた一人落ち込んだり。
正直、ルドガーの様子に夕食を一緒にすることもなくなるかもしれない、と覚悟をしていた。でもルドガーは僕に対してぎこちなくなりながらも、食事の回数を減らしたり、家に呼んでくれなくなるなんていうことは無かった。
ただ、僕に対してどういう態度を取ったらいいのか迷っているようだった。
ユリウスさんは無くなっているフロレスタの瓶だとか、ルドガーの僕に対する態度だとかで大体の事は感付いてしまったらしい。僕が表面上は平然としているから、何も言わないでいてくれているけれど。
僕は、ずっと悩んでいるルドガーを見て、やっぱりあんな事はするべきではなかったと本当に後悔した。
自己満足の為にルドガーまで巻き込んでしまって、自己嫌悪に耽ってしまいそうだった。
でも、これは全て僕が蒔いた種だ。自分の都合の良いように行動して、その結果ルドガーをあれ程まで苦しめている。自己嫌悪に陥っている場合なんかじゃない。
このままではだめだ。
ただ、漠然となんとかしないと、と、そう思った。
考えて考えて、考え抜いた結果、僕はその日の朝、ルドガーが仕事に出かける時間を見計らってマンションの前の公園で、ルドガーを待ち伏せすることにした。
食堂で働いているルドガーの朝は早い。
いつもはいるはずのない僕の姿を見つけたルドガーは、身体を硬直させていた。
「ルドガー、今日僕の部屋に遊びに来ない?昨日研究所で美味しいケーキもらってね、いつものお礼にご馳走したいんだ」
そう切り出して見ると、ルドガーが見るからに動揺しているのが分かる。けれど、だめかな?と首を傾げると、苦い顔をしながらも、じゃあ・・・と頷いてくれた。
僕はルドガーの口が挟む余裕もないくらい早く、時間と自分の部屋の番号を一方的に告げ、ルドガーを仕事に送り出す。
いってらっしゃい、と手を降るとぎこちなく振り返してくれた。
「前は・・・、もっと違ったのにな・・・」
もっと、あんなのじゃなくて、優しい笑顔を向けてくれたのに。
でも、ルドガーにあんな態度を取らせてしまっているのは間違いなく僕自身でしかない。僕は溜息を吐いて研究所に向かった。大分早い時間だけれど、何かしていないと罪悪感で押し潰されそうだった。

時間が近付いてくると、もしかしたらルドガーは来ないかもしれない、と怖くて仕方がなかった。一方的に取り付けた約束だ。ルドガーに一言断られてしまえば、僕はもうそこで動けなくなってしまう。
今日のこの誘いは、僕にとっては賭けだった。
来てくれれば少しでもぎこちなさがなくなるよう、ルドガーに謝って、話しをして・・・でも、もし、ルドガーが来なかったら、僕はもうルドガーに会わないようにしようと思っていた。
考えるだけで辛いけど、僕の顔を見る事がルドガーにとって苦痛となっているようだったら、もう会わない方がいい。
覚悟はしていた。けれど時間が近付くにつれて心臓の音が大きくなっていくのが自分で良く分かった。
お願いだから、来て欲しい。
出来るならルドガーといる時間を、ここで終わらせたくはない。もっと一緒にいたい。もっと話をしたい。
そう祈りながら待っていた。ちっとも進まない時計を何度も確認しながらソファに座り込んでいると、時間よりも少しだけ早くに呼び鈴が鳴って、慌てて玄関へと向かう。
「いらっしゃい、ルドガー」
「・・・あ、ああ」
玄関の向こうに立っていたルドガーは、やっぱり困った顔で笑っていた。
それでもただ、来てくれた事が嬉しくて。
いつもご馳走になっているから、とこの日は僕が料理を作ってルドガーに振舞った。そんな大した物が作れないし、プロの料理人であるルドガーに料理を振舞うなんておこがましいかな、と思ったけれど、ルドガーは予想以上に喜んでくれて。
「凄い美味しかった。ジュード、料理上手いんだな」
「自己流だから心配だったんだけど、ルドガーに褒められると嬉しいな」
「本当に美味しかったよ。味噌汁の出汁だって丁寧に取ってあるの分かったし、この炊き込みご飯の味付けも調度いいし・・・教えて欲しいくらいだ」
「もう、褒めすぎだよ」
いつになく饒舌に話すルドガーに、料理が好きなんだな、と本当に思った。隠し味を当てようと悩んでいるその様子に、思わず笑みが零れてしまう。
デザートに今日のお誘いの口実であるケーキと、紅茶を入れて差し出すと、ルドガーはこれも美味しい、と喜んでくれた。
「紅茶って、ここまで美味しく淹れられるんだな・・・」
「僕の知り合いに凄く美味しい紅茶を淹れられる人がいてね。教えてもらったんだ。その人の紅茶飲んだらびっくりするよ?僕のなんて全然大した事ないって思っちゃうくらい」
「へえ・・・一回飲んでみたいな」
久しぶりにルドガーの、優しく笑った顔を見て、ほっとする。
「ルドガーはお菓子とか作らないの?」
「作らない事はないけど・・・まだ、練習中というか・・・人に振舞えるようなものは作れなくて」
「きっとルドガーが作るものだから美味しいんだろうな・・・今度、食べさせてくれる?」
何気ない会話のつもりだった。なのに、急にルドガーがぎくりと身体を強張らせて、固まってしまう。
「そ、そろそろ帰るよ。今日は本当にご馳走様」
「ルドガー・・・っ!?」
そして、忙しなく立ち上がると玄関に向かって足早に歩き出した。僕の家はそんなに広い部屋じゃないから、すぐに玄関に辿り着いてしまう。
このままじゃだめだ。また、明日から何も変わらない。変われない。
僕はルドガーが部屋から出てしまう前に、その背中にぎゅっとしがみついた。
「待って・・・っ」
「ジュ、ジュード・・・っ!やめろって・・・」
「だってこうしないとルドガー帰っちゃうでしょ?!」
ぐっと詰まったルドガーの隙を見て、今度は正面からその身体を抱き締める。ルドガーは慌てて引き剥がそうとするけれど、僕は絶対に離れる気がないから更に強く目の前の身体に抱き着く力を強める。
そもそもルドガーは僕に対してあまり触れてこようとしないので、本気の力でルドガーにしがみつく僕を引き剥がせるわけも無い。
「・・・ジュード、頼むから・・・」
仕舞いには、ルドガーは俯いてしまった。所在無さげに宙に浮いた手が震えている。
まるで苛めっ子のようになった気分だ。でも、僕もここは譲れない。
「・・・ルドガー、もう僕と一緒にいたくない?」
「・・・っ、そういう訳じゃ・・・っ」
「僕は、もう一緒にいないほうがいい・・・?」
びくりとルドガーの身体が跳ねる。僕はルドガーの身体に回した腕の力を少しだけ緩めて、ルドガーを見た。蒼白な顔で呆然としているその顔に、少しでもまだ一緒にいたいと思ってくれているのだろうか、と場違いな期待をしてしまう。
でもそんな事を考えている場合じゃない。本題に入ろうと僕はゆっくりと話し始める。
「ルドガーが僕を避けてるのって、この前のことが原因だよね?」
さっと目線を逸らされた。変わらない顔色と、歪んだ眉に肯定の色が見える。
「ルドガーは本当に悪くないんだよ。本当にね、僕だって止めようと思えばいくらでも止められたし・・・だから、謝るのはむしろ僕の方で・・・」
「でも、俺が、ジュードを襲ったのは事実だろ・・・」
「そう、かも、だけど・・・でも、」
うまく伝わらない歯痒さに、思わずいつもの癖でこめかみに手を当てた。
どう伝えようか、どうすればあの前のような暖かい関係に戻れるのか。
完璧に戻れるなんて、僕だって思っていなかったけれど。でも、それでも少しでも近づけるのならそれでいいと思っていた。
どうしよう、どうしたらと悩んでいる僕の頭を、ルドガーがそっと撫でる。以前してくれていたのとは違う、遠慮がちなものだったけど、ルドガーが僕に触れてくれた事に驚いて顔を上げた。そこには先程よりも酷く苦しそうにしているルドガーがいて、思わず目を瞠る。
「・・・ジュード、もういいから」
「もういいって・・・なに、が・・・?」
「俺、おかしいんだ・・・あの日から、ずっと、」
言いながらルドガーがくしゃりとメッシュの入った髪を握った。その手はまだ微かに震えている。唇も、同じ様に震えていて、僕はルドガーが本当に苦しんでいる事をここに来て痛感した。
「忘れなきゃって思うのに、全然忘れられなくて・・・っ」
「・・・え・・・」
「あの日のジュードの声とか顔とか全部!全部、忘れられないんだ・・・っ!このままだと、またジュードの事襲ってしまいそうで怖くて・・・」
苦しげに言われた言葉が予想もしていなかった事で、反応が遅れてしまった。
もしかして、ルドガーも僕の事を恋愛対象として見てくれているんじゃないか、と思ってしまった。けれど、
「でも、こんな・・・っ!俺もジュードも男なのにこんなのおかしい・・・それに、ジュードは俺にとって弟みたいな、本当に、大事な友達なのに・・・」
そう、続けられた言葉に僕の淡い期待は一瞬で砕け散る。
ルドガーは途惑っているのだ。同時に僕に対して性欲を感じてしまうことに対して、恐怖を感じている。
無理もないと思う。ルドガーの恋愛対象は女の子だっただろうし、今までの恋人も勿論女の子で。それなのに男で、弟のように大事にしてきた友人と寝てしまって、しかもそれを忘れられなくて苦しんでいるのだ。
自分は間違っているのではないか。おかしいのではないか。
そう思ってしまっても、何もおかしいことなんてない。僕だってきっとルドガーの立場だったら、怖くなる。
「・・・じゃあ、もう一回してみる?」
「・・・は・・・」
「きっと、病気のようなものだよ。もう一回してみたら気が済んで収まるのかもしれないし・・・」
「何、言って・・・」
「気が済まなかったら飽きるまでしてみればいいし・・・僕は、」
ルドガーが目を見開いたまま固まっている。当然だ。言っている僕もルドガーがどんな反応をするのか怖くて、握った手が汗でぐっしょりと濡れているのが分かる。
心がまた繰り返すのか、本当に二度と戻れなくなるぞ、と警告を打っている。だけど、どうせもう元には戻れない。
ルドガーが僕の身体だけでも忘れられない、と思っているとしたら、それでもいい。触れたくて悩んでいるのなら触れればいい。僕を抱いて気が済むのなら、幾らでもすればいい。
「・・・ルドガーが僕の事で苦しんでいるのは、嫌だ」
「・・・で、も、」
「僕はしたいよ。ルドガーに抱いて欲しい。ルドガーは、したくない・・・?」
途惑っているルドガーの服の裾を掴んで、必死に見上げた。誘い方なんて分かる筈もなくて、ただゆっくりと呆然としたままのルドガーの唇に口付けてみる。引き結ばれたままの唇を開かせようと、乾いたそれを舌でなぞった。
すると、ルドガーが僕の後頭部をぐっと押さえて、キスが急に深くなる。
口の中に入り込んできた舌に夢中で自分のものも絡ませて。ルドガーが逃げてしまわないように、ただ必死にルドガーのキスに答える。
「・・・ル、ドガー、寝室、あっちだ、から・・・」
角度を変える時に唇が離れる僅かな時間。途切れ途切れに告げながら僕は寝室のあるドアを指差した。その指が面白いほど震えている。
それに気付いたルドガーが、震えた僕の指を強く握ってくれた。




PR

PREV ENTRY ← MAIN →NEXT ENTRY
COMMENTS





Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
 


SEARCH THIS SITE
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
プロフィール
HN:
こゆき
性別:
女性
自己紹介:
ルドジュ可愛すぎて、ルドジュにはまって、ルドジュのことしか考えられなくなりました。
よろしくお願いします。
バーコード
ブログ内検索
P R
OTHERS
Designed by TABLE ENOCH
Powered by [PR]