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ルドジュがひたすらもやもやしている話②R-15
続きです。
少しだけいかがわしいのでご注意ください。

拍手[6回]


この日も何も変わらない。いつもと同じ様に一日が終わるはずだった。
普段と同じ様に僕は研究所を出てルドガーの自宅へと向かっていた。一人きりの自宅に帰るときよりも、足取りが軽いのが自分でもわかって、くすぐったい気持ちがこみあげてくる。
「おかえり、ジュード」
ご飯をご馳走になるようになってから、ルドガーは僕をそう言って自宅に迎えてくれる。
そう言われるとなんだか胸があったかくなって、研究の疲れも思わずどこかに飛んでしまう程で。
「ありがとう、ルドガー」
でも僕は、ただいまとは返せなくて。それにいつもはルドガーが困ったように笑って終わるんだけど、この日はちょっと違った。
「あれ?ユリウスさんは今日も仕事?」
「うん。最近忙しいみたいで今週は帰れないってさ。」
「そうなんだ・・・」
僕が食事をご馳走になる時はユリウスさんが一緒の時が多い。というか、ユリウスさんに合わせての食事の時間帯が、僕の都合にもちょうどいい時間で必然的にユリウスさんも一緒になる。
けれど、最近ユリウスさんとは顔を合わせていない。ユリウスさんは大企業のクランスピア社で働いている。噂で聞いた事のあったクランスピア社の仕事の量は、噂と違わず本当にすごいらしくて、ユリウスさんがいない食卓も珍しい事ではなかった。
でも、この日のルドガーは酷く疲れたような、寂しそうな、なんだかとても放っておけない顔をしていた。
聞かない方がいい事もあるのかもしれないけど、僕はルドガーの事が好きだし、何でもいいから力になりたかったし、それ以上に頼って欲しいと思うところもあって。
夕食をご馳走になった後、ソファの上に並んで座ってお茶を飲みながら談笑するのがいつもだった。
その間にユリウスさんがルルと遊んでいたり、ユリウスさんがいない時はルドガーがルルとじゃれていたり、それに僕も混ぜてもらったりしていて。
ユリウスさんがいない今日は、猫じゃらしを使ってルルと遊んでいるルドガーを見ながら、僕はそっと聞いてみた。
「ルドガー・・・何か、あった?」
「・・・え・・・」
僕が聞いた事にルドガーは驚いていたようだった。
目を見開いてルルとじゃれていた手を止めてしまう。
「元気ないから・・・ちょっと心配になっちゃって・・・」
「・・・そんなに分かりやすかったかな」
くしゃりと顔を歪ませて笑ったルドガーに、胸が締め付けられた。こんな顔をするルドガーを見るのは初めてだったから。
俯いたまま少しの沈黙が流れる。
一向に手を動かさないルドガーに焦れたようで、ルルは自分の寝床に戻ってしまった。
「ちょっと嫌な事・・・でもないか。本当に大した事じゃないんだ。ありがとな。」
そう言って笑いかけてくれるルドガーを見て悲しくなった。
もし、ここにユリウスさんがいたら、ルドガーは弱音を吐けるんだろうか。泣いている心を慰めてあげられるのだろうか。
考え出したらきりがない。悲しさとか、切なさとか、よく分からない悔しさだとか。自分でも良く分からない色々なものが込みあがってきて、気付けば勝手に口が開いていた。
「僕には言えない・・・?」
「ジュード・・・?」
「やっぱり僕じゃだめ?ルドガーが辛いと思ってることとか痛いと思ったこととか、僕には言えない?・・・ユリウスさんになら、言えた?」
最後の方は俯いてしまった。こんなの子供の我侭だ。
言いたくないことなんて誰にでもあるのだと分かっているのに、こんな事を言ってしまっている自分自身に呆れてしまう。
しかしルドガーもさぞ呆れているだろうと思って、恐る恐るその顔を見てみると、想像と真逆な表情があった。
「な、なんで笑ってるの?」
「いや・・・、なんか今、すごい兄さんの気持ちが分かった。」
「ユリウスさんの?」
「俺もさ、昔兄さんが疲れた顔してて、すごい悩んでるのが分かったからジュードと同じこと言った事あったんだ。俺には言えないのかって。」
「ユリウスさん・・・なんて?」
「さっきの俺と同じ事言った。」
懐かしむように目を細めて笑いかけてくれたルドガーの顔には、ちょっとだけ寂しさが浮かんでいた。
「・・・兄さんは俺が何を言っても、それ以上は何も言ってくれなくて。今、その時の兄さんの気持ちが分かった・・・ただの、かっこつけ・・・だったのかもな。」
少し頬を染めて笑ってから、ルドガーは急に立ち上がり戸棚の中から一本の瓶と、グラスを持って戻ってきた。それを僕に渡し、次はキッチンに行って冷蔵庫の中を見だすと、手早く何品か作ってお皿に盛りつけだす。
それらと、もう一本、ジュースの瓶とグラスを器用に持ってきて、僕の隣に再び腰を下ろす。
されるがまま呆然としてその様子を見ていただけだった僕に、ほら、とジュースの瓶を向けられた。首を傾げた僕にもう一度ルドガーは瓶を向けて、僕は持っていたグラスを条件反射で差し出すと、ルドガーは満足したようにジュースを注いだ。
「ジュードも、こっち」
次にルドガーは自ら持っていたグラスを僕に向ける。
そこで、ようやく僕は気付いた。
「これ・・・お酒だよね?」
僕に渡された瓶はフロレスタというワインだった。サマンガン海停特産の有名なワイン。れっきとしたお酒だ。ルドガーがお酒を飲むという話はあまり聞いた事がないから、ユリウスさんのものだろう。
いいのかな、と思っているとルドガーは早く、と言わんばかりにグラスを僕に突きつけてくる。
「俺は成人してるから酒飲んでも問題ないし・・・飲めないジュードには悪いけど、少しだけ付き合って」
そう言われたらもう断れるはずもない。
ルドガーのグラスに渡されたままのワインを注ぎ、ルドガーに合わせて乾杯する。ぐっと勢い良く煽ったルドガーの様子に心配になりながら、僕もジュースの入っているグラスに口をつける。
その間にもルドガーはワインを煽り、3杯目のワインが空になったところで、ぽつりと口を開いた。
「・・・俺は、寂しかったんだ」
「・・・え?」
「兄さんが何も言ってくれなくて、寂しかった。ジュードに同じこと言われた時、兄さんが俺に対して何も言えなかったのも、なんとなく分かった・・・気にかけてくれるだけで嬉しいって、大丈夫って聞いてくれるだけで、思ってくれる人がいるだけで、もう大丈夫なんだって・・・でも、俺は寂しかった・・・」
「うん・・・」
さっきの話しの続きだろう。アルコールのせいか赤くなった顔のまま、ぽつりぽつりと言葉を漏らすルドガーの横顔を僕は黙って見ていた。
「だから俺は、ジュードの気持ちもわかる・・・何も言われなくて寂しいって、もっと頼って欲しいって思うのも、わかるんだ・・・」
そこからゆっくりとグラスに口をつけながら、ルドガーはその日あったことを話してくれた。
ユリウスさんの事を言われたのだと。
兄弟なのに似ていない、と。
言った人に他意がある訳ではないのは分かっている。自分でも外見は似ていないと思うし、性格だって似ていない。なのに、何気なく言われたその言葉に、優秀すぎる兄と比べられてしまっているように感じてしまった。
ユリウスは、なんでもできる自慢の兄で、家族だ。本当に大切な人だ。
なのに、こんななんでもないような事を気にしてしまう自分自身が堪らなく嫌だ、兄さんをまた傷つけてしまう、と。
言いながら震えるルドガーの手に気付いた。
以前、ルドガーからユリウスさんと同じクランスピア社の入社試験を受けたが落ちてしまった時に、ユリウスさんと大喧嘩したのだという話しを聞いた事があった。
今となっては笑い話しだけど、ど笑いながら話してくれたけど、やっぱりその時の事がルドガーの心に傷跡を残しているのが分かって。
ルドガーは、本当は言いたくなかったのかもしれない。弟のように思っている僕に、こんな弱音を吐きたくなかったのかもしれない。
それでも僕の事を思って、普段は飲まないお酒の力を借りてでも伝えようとしてくれている。
「ユリウスさんにとっても、ルドガーは自慢の弟だよ」
「・・・うん」
「ルドガーの手は魔法の手だって。ユリウスさんの元気の源だって・・・ユリウスさん、すごい幸せそうな顔で笑ってたの、ルドガーも見たでしょ・・・?」
「・・・うん」
「似てなくたって、何があったって・・・ユリウスさんとルドガーはお互い大事に思いあってる家族だよ。それは変わらないよ・・・大丈夫」
「・・・うん」
「それに・・・僕にとっても、ルドガーは自慢の・・・友達、だよ」
少しだけ、間があいてしまった事にルドガーは変に思わなかっただろうか。
ルドガーを安心させてあげたくて、笑いかけると、翡翠色の綺麗な瞳がアルコールのせいか少しだけ濡れていた。
「話してくれて嬉しかった・・・ありがとう、ルドガー」
「・・・ジュード」
本当に、急だった。
顔が近付いたかと思ったら、唇に暖かいものが触れて離れる。それがルドガーの唇だと理解する前にもう一度重なって、また離れる。
そして三度目は、もう間違いだとは思えないくらいに深いもので。
口の中にルドガーの舌が入ってきて、僕の口内をかき回す。硬直してしまった僕の舌に、ルドガーは自分のそれを絡ませながら、何度も何度も角度を変えて僕の唇に喰らいつくようにキスを繰り返した。
ルドガーの吐息からアルコールの強い匂いがして、酔っているんだとすぐに分かった。
誰と間違えているんだと、止めるべきだった。
殴ってでも、蹴り倒してでも止めておくべきだった。
でも、ルドガーとキスをしている、と理解すると、もう止められなくて。
お互いの手に持っていたグラスはソファの下に落としてしまった。残っていた中身がカーペットに零れてしまったが、気にする余裕もない。
キスを交わしながら促されるようにソファに押し倒されて、服の隙間からルドガーの手が、直接僕の肌に触れてくる。
「・・・ん・・・」
酔っているせいか、想像以上に高い体温に身体が震えた。
感触を確かめるようにわき腹のあたりを撫でていた掌が、不意に胸を掠める。
「あ・・・っ」
途端に自分でも驚くほど身体が反応した。
「ここ、感じるんだ・・・?」
「や、あ・・・ぁ・・・ん」
胸の突起を摘まれて勝手に声が出てしまう。耳元で囁かれる、普段とは違う少し低い声に頭が沸騰しそうだった。
僕の反応を見てかルドガーは執拗に胸を責めてきた。弱く弾いたり、強く摘んで、少し乱暴にこねてきたり、その度に身体がびくりと跳ねて、ルドガーの手を更に先へと進めさせてしまう。
「ひゃ・・・っ」
Tシャツをたくし上げられて熱い舌にぺろりと舐められた時には、一際大きな声が出てしまって。
ちゅ、ちゅ、とルドガーが胸に吸い付く音が聞こえる度に、羞恥で顔が熱くなっていく。漏れ出る声を抑えようとした手はルドガーに外されてしまった。
「あ・・・ぁ、や・・・んん・・・」
声が止まらない。
僕は男なのに、女の子みたいに胸で気持ちよくなるなんて想像もしていなかった。
ふと視線を下に向けると、僕の胸に舌を這わせているルドガーが見えて、更に恥ずかしくなった。でも、まるで貪りつくように胸に噛り付いているルドガーから、目が離せなくなってしまって。
ルドガーの赤い舌先がちろちろと乳首を掠めたり、僕よりも大きな掌が、平らな胸の肉を揉んでいるのに、不意に申し訳なくなる。
ルドガーは、やっぱり誰か女の子と間違っているのだろうか。
不意に涙が込み上げてきそうになり、ぐっとこらえているとルドガーと目が合った。
「・・・ジュード」
僕の名前を呼びながら涙が溜まった目尻にルドガーの唇が寄せられる。そのまま顔中に口付けられ、最後に唇にまた深いキスが下りてきた。
唇が離れてこつん、と額が合わさって、真っ直ぐに見詰められて胸が高鳴る。
「泣くなよ、ジュード・・・俺が、俺が守るから・・・」
与えられた言葉に、目を瞠った。
けれど、次の瞬間にふわりと感じたアルコールの匂いに、ルドガーが酔っている事を思い出す。
誰かと間違えているわけではない。ルドガーは酔っているけれど僕を、僕だと分かっていてこうしている。
「・・・・・・ルドガー」
そう思うと、手は自らルドガーを引き寄せて、キスをしていた。こんな事誰ともしたことがない。キスだって、ルドガーにされたものがファーストキスだったし、勿論その先だって経験ある筈もない。
でも、僕はルドガーが好きだから、このまま委ねてしまってもいいと思った。
答えてくれるキスに、身体に触れる熱い掌に、与えられる事のないはずの全てに、抗うことなんて出来るはずなくて。
僕達は、その日初めて、セックスをした。

家族や友達のままでいるという選択を、僕は選ぶ事が出来なかった。




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